下町の製薬会社が独自の技術で「毛生え薬」の開発に挑む「下町ハゲット」。ハゲに情熱をかける男のロマンを描いた池井戸潤氏の代表作です。
今回ご紹介するのは、もし実現すれば「ノーベル賞受賞間違いなし!」と言われる偉業に挑む男の物語なのです。
大阪・港区のカットサロン「cut in アルフ」
主人公は、港区のカットサロン「cut in アルフ」の店主・吉岡桂(よしおか・かつら)さん、56歳。
港区と聞けば、住民たちが「児童養護施設建設反対!」を訴えたセレブ〜なイメージがありますが、ここ大阪の港区はそれはそれは、ベタの下町です。サロンの中に託児所だってある、とっても人情味あふれるカットサロンなのです。
差し出された名刺を見て、思わず頭頂部を見てしまう小ネタ隊です。
そうなんです。今回のテーマは「毛生え薬」なのです。
何でも、口コミで評判の秘薬があるという情報が寄せられた
金子隊員から寄せられた情報によると、
で、スタッフの女子がAKBのオーディションを受けたとか……
AKBオーディションの噂を完全否定するのは、「育毛剤」開発のきっかけとなった女性スタッフの田畑裕子さん。1歳男児のママさんです。
田畑さんが受けたのは、大人AKBのオーディション。大人AKBとは江崎グリコが『パピコ』の2014年春のキャンペーンとして「期間限定で活動する30歳以上のAKB48メンバー」を公募した企画です。田畑さんは「歌って踊れる美容師」として出場し、堂々の4位だったそう。
風になびくキレイな髪質にしてあげたい
当時、お客さんとしてアルフに出入りしていた田畑さんは、超のつくほど難儀な髪質の持ち主でした。
どんな架橋剤や処理剤を使っても彼女の髪質を改善することはできません。
「彼女の髪を、風になびく髪にしてあげたい」
美容師歴30年以上のキャリアを持つ吉岡さんの想いから生まれたのが、オールインワン補修剤「綺修たばたdoux(ドゥ)」です。
どんな美容師にも治せなかった1万人に一人と言われる髪質から、吉岡さんの手によりキレイな髪を手に入れた田畑さんは、同じ悩みを持つ女性たちの役に立ちたいと、当時務めていた大手菓子メーカーを退社。
美容師免許を取得し、吉岡さんのもとで働くことを決意しました。
一見、何の変哲もない町のカットサロンのようですが、実は「cut in アルフ」は髪質に悩む女性たちに人気の店だったのです。
薄毛に悩む人たちの役に立ちたい
育毛剤といえば、製薬企業をはじめ大手の医療・美容企業が大資金を投じて開発に取り組む分野です。そこは「利益第一主義」、常にお金儲けがつきまといます。
しかし吉岡さんは違いました。
「綺修たばたdoux(ドゥ)」と同様に、まず「薄毛で悩む人の役に立ちたい」という想いがあります。吉岡さんの手がける商品開発のベースには、必ず「人に対する想い」があるのです。
まさに宇宙にロマンをかける「下町ロケット」ではありませんか!
「綺修たばたdoux(ドゥ)」で築き上げたネットワークにより、全国の理容院・美容院が協力を申し出てくれました。
商品はまだ開発段階ですが、評判が評判を生み、全国の薄毛男子たちが実験台に名乗りをあげてくれたのです。
そこで薄毛に悩む男性100人以上に「吉岡スペシャル」を試みたところ、全員に改善の兆候があったそうな。
正式発売はもうすぐ!乞うご期待
こちらが、その証拠写真です。
モデルは吉岡さん自身。
吉岡スペシャルは開発途中の段階。そのため、まだ名前もなく、値段も未定ですが、だいたい1本5,000円前後(3ヵ月分)になる予定だとか。
お金儲けよりも、薄毛に悩む人の笑顔を優先する吉岡さん。
あくせくしていないのがいいところです。
ひょっとしてひょっとして……大阪の下町からノーベル賞受賞者が出るかもね。