日本麺文化の礎「三輪素麺」の悲しい歴史


先日、素麺をいただきました。一束ずつ箱に入った、超高級そうな奈良の三輪素麺です。
製造元は「奈良県三輪素麺工業協同組合」。

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なんじゃ〜それ?と思うなかれ。

なんと「三輪素麺」は、奈良県三輪素麺工業協同組合の登録商標。
つまり他業者が製造したものは「三輪素麺」ではなかったのです!

がび〜ん!

「三輪素麺」と言えるのは、奈良県三輪素麺工業協同組合製造のものだけ

素麺の発祥の地、奈良県桜井市三輪に、仲買業者や製粉業者などから構成される素麺産業関係者の団体「三輪素麺組合」が結成されたのは明治28年のこと。
その後、数度の組織編成を経て、伝統の技法と品質の確保・継承を目的とした「奈良県三輪素麺工業協同組合」が誕生しました。昭和22年のことです。
現在、約80名の製造者が伝統の技に磨きをかけ、三輪素麺の普及に努めています。

三輪素麺は奈良県三輪素麺工業協同組合が商標登録していて、検査基準に合格したものだけを、大神神社の鳥居を模した「鳥居帯」で結んで販売しています。

ところが!

2002年7月に衝撃の事件が発覚しました。

なんと、三輪の大手3社が長崎県産の素麺を「三輪そうめん」として販売していたことが発覚。
さらに産地表示もせずに、20年以上も前からデパートやスーパーなどで三輪そうめんとして販売していたそうな。

その3社とは…

三輪素麺事件とは!

誰もが知る三輪素麺の名店、「池利」「三輪そうめん山本」「森井食品」の3社だったのです。
いずれも長崎県などで製造された素麺に製めん地の表示をせず、「三輪そうめん」の名称だけを使用していたとのこと。
現在、池利や山本で販売されている三輪素麺には、鳥居マークが入った組合製造のものと、自社ブランドのものの2種類があるそうです。また他府県産の素麺には「三輪素麺」とは表示されていません。

というわけで、池利の三輪素麺として、ありがた〜くいただいていた素麺は、正確に言うなら、「三輪で池利が製造した素麺」だったのであります。

三輪素麺の最高級品は旨いのか?不味いのか?

ところで、先の「神杉(かみずぎ)」という素麺は、むちゃむちゃ細いです。
三輪素麺には4つの細さがあり、細いものほど、等級が高くなり高価になります。

  • 神杉(かみすぎ)120本以上/10グラム当り
  • 緒環(おだまき)95本〜105本/10グラム当り
  • 瑞垣(みずがき)80本〜95本/10グラム当り
  • 誉(ほまれ)70本〜80本/10グラム当り

神杉は最等級品で非常に高価なのですが、旨いか不味いかって言えば、あまりにも細すぎて、小ネタ隊には「糸」を食っているような気にしかなりません。
やっぱり池利の方が好みですかね〜。

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