台湾へは30年ほど前に一度だけ行ったことがある小ネタ隊です。
「旨いものをたらふく食うぞ!」と期待にワクワクしながら向かったのですが、飛行機の扉が開いた瞬間にその野望は儚くも打ち砕かれました。
ニンニク臭というか、胸がウプッとなるような感じ。眠眠の餃子なぞは大好きなはずなのに…。
台湾旅行時の料理は何を食べてもダメでした。口に合いません。ホテルの朝粥さえもニンニク臭くって食べられません。
おかけで太るはずのグルメ旅行は、げっそりして帰ってきた記憶があります。
日本に帰ってからもしばらくは、あれだけ好きだった中華料理屋の前を通ることができませんでした。
以来、台湾料理は日本でも口にしていません。
苦手な台湾料理だけど、ゴチしてくれるのなら行くさ
それがそれが、ゴチしてくれるというので、恐る恐る行ってまいりました。
結論から申し上げときますが、目から鱗です。食わず嫌い王です。バリ、旨!です。
値段が許せば、週1くらいは通いたいお店です。
今回、ご紹介するのは、大阪・北新地にある「石鍋料理 健」という台湾鍋専門店。
店は雑居ビルの5階にあるはずなのに、エレベーターは4階までしかありません。
4階からはごっつい急な階段でトントントンと上がるのですが、「怪し感」が漂っています。
小ネタ隊的にはこのような隠れ家チックな店は大好きなのですが、飛び込みの新規開拓ではなかなか勇気がいるかもしれません。
店内には、4人掛けのテーブルが5卓。決してお洒落とは言い難いです。しかも狭い!
窓からは、まるで図書館のようなジュンク堂書店西梅田店が見えます。
肝心の料理は石鍋コースのみ。今回はゴチしてもらったので、詳しい値段はわかりませんが、1人前6,000円くらいでしょうか。
まず、最初に出てきたのはハマグリの鍋です。生姜がむちゃむちゃ合います。
スープがまたむちゃむちゃ旨い!
「この残り汁に、野菜を入れて、はい鍋の出来上がり〜〜〜やったら怒るで〜〜〜」と、クレームの一発もかましてやろうかと思いましたが、なわけはありません。
スープも全部取り分けてくれます。
店の規模の割には、女給さんが多いな〜とは思っていましたが、もうほんとに至れり尽くせり。ビールは注いでくれるし、料理は取り分けてくれるし、箸置きが床に落ちたらすぐに拾ってくれるし…かといって、肩肘はらずに食事や会話に集中できます。
案の定、予約の電話がひっきりなしに入っていました。当日も満席状態。最初のスープだけで料理の旨さが分かりましたが、店内に10数分いただけで、長年にわたり人々に愛され続けている理由がわかった気がします。
アットホーム感が最高に心地よい
店を切り盛りするのは、真鍋嘉代子さん。2歳年上のご主人が厨房を担当し、嘉代子さんは2名の中国人留学生とともに給仕を担当しています。何を隠そう、嘉代子さんは当小ネタ隊員の妹の幼稚園時からのご友人。つまり、小ネタ隊とはまったく関係のない、赤の他人でございます。
嘉代子さんは、健ちゃんこと前オーナーの時代からこの店で働いて18年になるのだとか。だから隅々まで行き届いているというか、気配りがすごいのです。嘉代子さんの気配りだけでも3,000円の価値はあるでしょう。
スープの次は、すっぽんの冷たい茶碗蒸です。コラーゲンたっぷりで明日はお肌プルプルの予感。
さらに、前菜がじゃんじゃん出てきます。
ローストビーフに、生春巻き、小籠包、棒々鶏と品数もボリュームもたっぷり。ワンサイズ小さめのスラックスを履いてきた小ネタ隊はメインまで行き着けるでしょうか。
メイン料理を迎えるにあたって、少々、用を足してきますので、前菜の数々を写真でお楽しみください。
いずれも色鮮やかで、辛口の紹興酒によく合います。やはり、中華は紹興酒に限りますね。ビールではお腹がはってあきません。
いよいよ名物、石鍋登場
料理の都度、お皿を取り替えてくれるのはもちろんのこと、鍋も作ってくれます。
客は、な〜んもせんでいいのです。
ひたすら、飲んで食ってしゃべっていればいいのです。
目の前で調理される台湾鍋は、その素材だけで圧倒されます。
現地で調達してきたという、むちゃむちゃ重たそうな石鍋の中に、ごま油とニンニクを入れ、玉ねぎと薩摩豚を炒めて、一旦取り出してから、スープを注入。タラや海老、台湾のお餅などに、先ほど取り出した具材を入れて1度目の石鍋が完成。
どうです、旨そうでしょう。小ネタ隊は海老好ですが、鍋の海老は苦手です。なぜなら殻を剥くのが苦手なのです。面の皮は分厚いが、手の皮はデリケート。熱いうちに食べたいけど、剥けないのです。かつ食事中に手が汚れるのもイヤ。
しかし、そんな心配も無用。ちゃ〜んと剥いていただけます。
鍋の中の里芋のような形をしたものは、中に餡が入っています。そのまま一気に食べると中から熱々の汁が出てきますので要注意です。まずは先端部分をお上品に食いちぎって、中を覗き込んでから食べるのがヨロシ。
特製のタレに豆板醤とネギとニンニクをたっぷり入れていただく石鍋料理は、これが、あの台湾料理なのか!と疑いたくなるほど絶品です。
一気に台湾好きになりました。
魚介類・肉類をいただいた後は、あっさりと野菜鍋をいただきましょう。
モロヘイアは鍋にも合うのですね。トロトロ感が海藻のようで、おもしろい食感です。
最後は、〆の中華麺をいただきましょう。
はっきり言って、これだけでも700円、北新地という場所柄を考えると1,100円くらいの価値はあるのではないでしょうか。旨い、旨すぎます!
で、特別バージョンのフルーツ盛り合わせをいただいて、ご馳走様でした。
会計を済ませて、例によって急な階段を4階まで降りていくと、女給さんがエレベーターのボタンを押して待っていてくれました。どんだけ、気配りの店やねん。
お腹も心も満足できるお店でした。