2018年12月1日、大阪ミナミのお土産物店「いちびり庵道頓堀店」内に、メイドイン大阪にこだわった商品を扱うセレクトショップが誕生しました。
その名も「Osaka &」。
さらに注目のアーティストがさまざまな「大阪」を描くプロジェクト「Osaka & Art」も同時スタートです。
今回は「いちびり庵道頓堀店」から現場レポートです。
いちびり=ふざける、楽しい、リーダーシップ
大阪言葉に「いちびり」「いちびる」というものがあります。
我らが大阪人の誇り、牧村史陽大先生の『大阪ことば事典』によれば、「ふざけまわる」とか「調子に乗ってはしゃぐ」と表記されていますが、イマイチ正確ではありません。
生粋の大阪人以外の人が見ると、「調子こいてふざけまわっている」というようなマイナスイメージを抱くことでしょう。いわゆる「悪ふざけ」です。
しかし、この「いちびり」には、「ふざける」のほかに「楽しい」「市振り(リーダーシップ)」などの意味もあります。
ただ単に悪ふざけしてその場の雰囲気や器物を破壊するのではなく、常識にとらわれないで全員が笑える環境を作りたいという思いが込められているのです。
コンセプトは「いちびり」&「はんなり」
さて、前置きが長くなりましたが、大阪・道頓堀に、その名も「いちびり庵」というお土産物屋さんがあります。
店のコンセプトは、「いちびり」&「はんなり」。
「はんなり」は「上品で明るく、はなやか」という意味の大阪言葉です。
「いちびり庵」を運営するのは、天正年間に大阪で紙問屋として創業した株式会社せのや。大阪・ミナミの町を400年近くにわたって見続けてきた老舗店です。
大阪の土産物店といえば、コテコテ・お笑いを全面に押し出した商品が「これでもか!」と並びますが、「いちびり庵」は少し違います。
「楽しく」「はなやか」なのです。そして扱う商品や陳列に「こだわり」が見え隠れしています。
メイドイン大阪にこだわった「Osaka &」
2018年12月1日、「いちびり庵」道頓堀店に開設された「Osaka &」は、地元大阪製の商品にこだわったコンセプトショップです。
大阪の伝統工芸品である錫器をはじめ、ロゴスの水筒、長崎堂のカステララスク、ごま問屋・和田萬のえごま油などの老舗店アイテムから、たこ焼き・お好み焼きの缶詰といった珍しいものまで、思わず手にとってしまうものばかり。
店内を回るだけで実に楽しいのです。
「よくぞ、ここまで集めたな〜」と感心してしまいます。
また、大阪にゆかりのあるアーティストたちが様々な「大阪」を描くプロジェクト「Osaka & Art」も同時開催され、イラストレーターの岡田丈、山崎真理子、さくらいはじめ氏らによるTシャツやグッズが販売されています。
音大出身のいちびり人「プロフェッサー松浦」さん、お薦めの「いちびり庵」お土産ベスト3
「私たちの願いはこの街のファンを増やすことです。よく知られている大阪はもちろん、まだまだ知られていない大阪を丁寧に伝えることで、より多くの人に大阪を好きになってもらいたいと思っています」と語るのは、せのやの広報担当・松浦敬祐さん(34)。
大阪音楽大学で声楽を学んだ後、同店のアルバイターから現場の責任者になった「いちびり人」です。
それでは、プロフェッサー松浦に「いちびり庵」のお土産ベスト3を紹介いただきましょう。
第1位 くいだおれ太郎三角プリン
いちびり庵のオリジナル「くいだおれ太郎三角プリン」。ここでしか買えないかなり“いちびった”プディングです。
第2位 なにわちょろけんちょろけんぴ
なにわが産んだゆるキャラの元祖「ちょろけん」をアレンジした芋けんぴ。こちらもかなり“ちょろけ(おどける)”ています。
第3位 みるく饅頭 月化粧
1位・2位は不動ですが、3位は入れ替わりが激しく、今月はCMでお馴染みの「月化粧」。
やはりテレビの影響は強い!
かつてはお好み焼きやたこ焼きなどの粉モン系が主流でしたが、最近はずいぶんとオシャレになったようです。
コテコテだけやない大阪の街。ぜひ、実際に足を踏み入れて、大阪が育んだ「いちびり」「はんなり」精神を味わって下さい。