青春18きっぷでゆく「名古屋・味噌煮込みうどんの旅」

20数前に名古屋駅近くで食べた「味噌煮込みうどん」がいまだに忘れられません。
「旨かった」というのではなく、「固かった」のです。
しかもとてつもなく「固かった」のです。

当時は気も弱く、「これ、生ちゃうん!」などとは言えませんでした。
しかし、世間の荒波に揉まれ続けてきた今ならきっと言えると思います。

通常よりも4,340円のお得

もちろん、今回も青春18きっぷです。
わざわざ名古屋くんだりまで「味噌煮込みうどん」を食べに行くために新幹線なんぞに乗れやしません。

大阪〜名古屋間の運賃
新幹線 5,840円×2(往復)=11,680円
在来線 3,350円×2(往復)=6,700円→青春18きっぷ2,360円
近鉄特急4,440円×2(往復)=8,880円

新幹線なら往復1万1,680円、近鉄特急なら往復8,880円もかかってしまいますが、在来線を乗り継いで行くと、往復6,700円で行けちゃいます。
さらに、青春18きっぷは5セットで11,850円だから1回あたり2,360円。日帰りで帰ってくれば、なんと通常価格よりも4,340円もお得なのです。

味噌煮込みうどんどころか、ひつまぶしでも食べられちゃうのです。

ただし時間がかかるのが少々というか、だいぶんと難点。
新幹線なら1時間で行けますが、在来線だと3時間以上かかります。おケツは相当痛くなることを覚悟しておかねばなりません。

在来線の旅はいろいろな人に出会えるのが魅力

例によって、朝7時30分JR大阪駅発近江塩津行きの新快速で出発します。
福井とは違い、今回は東海道本線ですからローカル線の旅ムードはありません。通勤・通学の客でごった返しているところへ、運悪く柔道部の高校生たちと同じ車両に乗り合わせてしまいました。

ムサい…

ニキビづらのドデカい高校生14〜15人に囲まれるとさすがに、息が苦しくなります。

8時55分米原着。名古屋まではここから特別快速で一直線。あと1時間10分ほどです。それにしてもずっと混んでいます。いい加減に座るのもイヤになってきたころ、今度は運良く3歳と5歳の可愛い兄弟が乗ってきました。乗車するなり「座りた〜い」と駄々をこねたので、席を譲ってあげました。
お母さんは恐縮していましたが、こちらは大阪からず〜と座り続け。ケツが痛くって足も伸ばしたかったのでちょうど良かったのですが、周りからはすごくいい人に見えたことでしょう。

残念ながら、小ネタ隊は自他ともに認める「そんないい人ではありません」。

味噌煮込みっちゃあ、「やまもとや」だね

10時29分、名古屋着。
前回、名古屋に電車で来たのは「味噌煮込みうどん」を食べた20数年前ですから、右も左もさっぱりわかりません。ビルがドド〜んと立ち並んでいて、クラブハリエに長蛇の列が出来ていて、百貨店のエスカレーターがUSJ並みに混雑していました。

グーグルマップを開いてみますが、自分がどこにいるのかもさっぱり分かりません。

前回の店は地下街にあったと思うのですが、もはやどこの地下街かもわからず、店名に記憶がある「山本屋」を検索してみます。

出るわ出るわ、やまもとや〜〜〜

むちゃあるでないの、やまもとや〜〜〜

味噌煮込みうどんといえば「山本屋」ちゅうくらい、有名なお店ですが、実は「山本屋」には「山本屋本店」と「山本屋総本家」があります。この2つの山本屋は暖簾分けしたわけでも、「ネギ焼きのやまもと」のように親戚兄弟でもなく、まったくの他人。それどころか仲はあまりよくないそうです。

山本屋総本家 タワーズ店突撃レポート

それぞれにこだわりがあるようですが、大阪人にとってはどちらも「本場の味噌煮込みうどん」なので、より近い方を選択しました。

それが、今回の「山本屋総本家 タワーズ店」です。

定番中の定番「普通煮込みうどん」(1,089円)を注文。わざわざメニューに“普通”と表記するところが、にゃごや人やな〜とか思いながら、ビールを飲み待つこと数分。

お待ちかねの味噌煮込みうどんの登場です。

ここの食べ方は、上蓋を皿代わりにして食べるそう。鍋から直接するるにはあまりにもあっつ熱、カッチカチであるため上蓋で冷ましながら食べるそうです。

ビールグラスの家紋といい、食べ方といい、ウザいくらいのこだわりがある店です。
いや〜それにしても固い!20数年前に食ったときよりも一段と固くなっているように思えます。

名古屋人はお固いのがお好き

味噌煮込みうどんはなぜにこれほどまでに固いでしょう。
聞けば、両山本屋の味噌煮込みは特別固いのだそう。

名古屋では、どこのうどん屋さんでも大抵味噌煮込みうどんがあるそうですが、ここまで固くはないそうな。

お互いに固さを競い合っているうちにどんどんとエスカレートしてとてつもなく固くなってしまったのでしょうか。

「生やんけ!」というクレーマーも年に数件あるそうです。

煮込みうどんは、鍋焼きうどんにあらず

固さの秘密は、その茹で方にあります。
というよりもうどんを湯がいたりはしません。
赤味噌出汁の中にそのまま生うどんを入れちゃいます。
生のうどんを直に煮るから「煮込みうどん」だそうで、茹でてから煮るのは「鍋焼きうどん」だそう。

「煮込みうどん=鍋焼きうどん」ではないのですね。なっとく。
しかも塩を入れて打ったうどんは生のまま煮ると出汁が塩辛くなってしまうので、山本屋のうどんは粉と水だけ。さらに打ち粉にはそば粉を使用しているのだそう。

まさに、こだわりが産んだ「固さ」なのですね。


それにしても、なんで小麦粉と水だけのうどんやのに、1,000円もするのでしょう。
香川のうどんは200円くらいですし、大阪の高級きつねうどんでも1,000円なんて見たことがありません。
具材にしてもネギと薄い蒲鉾しかはいってないし、固さと同様、この高さも理解不能です。

山本屋総本家 タワーズ店
愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 JRセントラルタワーズ13F
TEL:052-581-9625
営業時間:11:00~23:00(LO:22:00)
定休日:不定休

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